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詩「柿の木」

「柿の木」



僕の小さい頃 横浜のお婆ちゃん家の
庭には 仙人掌や鈴蘭の花が 飾ってあって
そのすぐ近くに 一番長く住み着いてるのが
僕の大好きな 柿の木である
この柿の木どれくらい長いかと言うと
この家が建つ前から既に
存在していたらしい
柿の木は 計4本
彼ら「柿の木達」はどんな想いで
僕らを眺めていたのだろう
僕は 彼らによく柿をご馳走して貰った
が 僕が中学に入ると同時に
彼らは 既に
居なかった
切り倒され 彼らの居た所には 
車2台分置いても
ちょっと余裕が在る位のちゅう車場になっていた
僕は 心の中で なんて残酷な事をと思った
その夜 僕は 不思議な夢を見た
僕は小さい頃の僕で
彼等が 僕に手招きしている
僕は 近くに寄った
すると彼等が人に見えてきた
その人達は言った
「お前は ワシ等が斬られていたのを
 ただ見て 何も思わなかったのか」
と 怒っていた
すると 隣の人が
「待って 
 この子は 私達を見て哀しんでくれたわ 」
すると怒っていた人が言った
「柿が食えなくなるからであろう」
と言うと 4人で大爆笑した
僕は言った
「それは 違う
もう 綺麗な柿の木が見れなくなると
思ったから 哀しんだんだ」
と言い 爆音で泣いた
すると4人揃って言った
「ならば その心に免じて 我等の踊りを
 見せて信ぜ様」
その踊りは 盆踊りのように見えたが
どうやら 使っている楽器の笛の音が
ちょうど ベンツのクラクションのような
プァーンとプォーンと聴こえるから
平安時代の踊りのようだった
その後は 覚えていない


    完

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